発狂した夏目漱石は「猫」を生んだが...
頭の中の悩みをいちいち言語化しなければいけないのはなんか嫌だ。
難しいし、手間だ。みんなどうしているんだ。 暗い頭の中に懐中電灯を当てて、「なんだおれにまとわりついて たのは,単なる古い毛布か」などとやらなければいけない。おれはこの事実に気づくとき 精神的な鎮痛作用を得られると同時に、おれの命を蝕む重大ななにかと思っていたものが、 ただの布団であったことへ対して落胆する。 おれは悩みたくないのに、単純でありたいのに、悩まないことや単純であることに ひどい嫌悪感がある。この矛盾によって、憂鬱の螺旋をするすると下って 行ってしまう。
おれはこうやって自分と会話し続けないと精神状態を正常に保てない。 だが、毎日毎日まともで真面目な人間を装って生きなければいけない。 人にこんなことうまく説明できない。自分だってどうしらいいのかわからないのだから。 甘えているだけだ、少し休んだらどうか、とかなんだとかで片付けられる。 まちがってはいないのかもしれない。ただ、あってもいない。 他人のことは表象しかわからない。表象が全てだ。
ああ、非生産的だ。なにも生まれず、なにも進まない。 わかっているけれど。いつの日記を見返しても自分の無力に悩まされ、 ひどく落ち込んでいる。何も変わっていないんじゃないかと思える。
今日は昼飯にハムとチーズ、ツナマヨのサンドイッチを食べただけのはずだが、 胃がもたれているような感じがする。 気付けのためにコンビニで買ったポテトチップスうすしお味を食べながら、冷たいジャスミン茶を ごくごく飲んだ。別に美味しいとは思えない。塩気が濃く、油分がいつもより 多く感じる。気分は良くない。なにか自分の状態を変えないといけない。
ああ、日が暮れて、18:32になって思考が停止し始めてきた。 息子を風呂にいれて、その間に料理しなければ、と習慣が俺に働きかけている。 俺はどうしてもこれに抗うことができない。重い腰を上げる。